街暦 #9
襟草丁(写真)←松本力(文)
襟草丁さん
青、白、赤で、自由、平等、博愛のトリコロール。
革命はないが、革命のときは近づいている、とおもう。
それは、自分の中の自分がこわれるときに、それをこわすのもつくるのも自分だから。きっと、人生に勝ち負けはないということなのかな。いままでは、だいぶ、負けが込んでいるとおもっていたけれど。
えっと、このグラスファイバー、菱形のフェンスのような七夕飾りのような網目模様は、もっと、みょーんと、縦に伸びている方が好みだけれど。
そのうち、三つの波が、富士山のような高い山の登頂の上がり下がりの振幅に重なって、空に浮んでみえる幻視となるときがある。目の閉じ具合と睫毛の隙間がつくる、幾つもの光芒が蜘蛛の足のように、上下に紡錘形に伸びゆくことがあるように。
家と家の狭間に門がある、だれもいない小学校。
そこへ、子どもが二人、さっき帰ってきたのか、来年入りたいのか。まるで、門の中と外で違う時間が流れている。こちら側は外だけど、子どもたちの視線を借りれば、あちら側からあのときあの場所の自分を眺めているみたいだ。
松本力より
街暦
text by Chikara Matsumoto
photo by Tei Erikusa
写真と書簡で往復する #往復写簡
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