往復写簡 #8
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 日本文化のひとつ「見立て」。なにかをなにかになぞらえる表現方法で、例えば和菓子の名に見られ、お萩や水無月などの行事菓子の名は身近な「見立て」と思います。節気や暦と結びつき、従ってその季節の光景を容易に想像することができます。ちなみに...
往復写簡 #7
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 片付けていて、古い色紙が出てきた。 まずもろともにかがやく宇宙の微塵となりて 無方の空にちらばらう 宮沢賢治 文学少女だった母は、宮沢賢治研究会の「四次元」に出入りしていた。だれの書なのか。そうか、いままでとこれからのみえない記憶の...
往復写簡 #6
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん うわのそら。 これまで特に気に留めなかった言葉の響きが、不意に不思議に感じる時があり 「うわのそら」と音が不可思議に迫ってきました。 いつでも上にある空と、何事かに心を奪われている「うわのそら」。...
往復写簡 #5
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 反符丁・弾符丁、低いところから上って 反符丁・弾符丁、高いところへと下った いつかどこか、目のあたりにしない時に その後先を正しくみることができなくて 英国の童謡に、鏡の国にもいる、ずんぐりした(ぼくのこと)反符丁・弾符丁の出自を憶...
往復写簡 #4
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 家の南側の窓からは豊かに葉を茂らせた常緑樹が並んでいるのが見えます。 二週間ほど前からその枝葉が派手に切り落とされ、風景が一変してしまいました。 密集した葉で塞がれていた空間に穴が空き、隠れていた空間が顕になり、...