往復写簡 #4
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
家の南側の窓からは豊かに葉を茂らせた常緑樹が並んでいるのが見えます。
二週間ほど前からその枝葉が派手に切り落とされ、風景が一変してしまいました。
密集した葉で塞がれていた空間に穴が空き、隠れていた空間が顕になり、
馴染みのない場所を眺めているようです。
防風林よろしくある種壁の役割を果たしていたと思われ、
こちらに吹きこむ風の量もきっと変化するでしょう。
いつか、都内某所まで出かけ、
フランス人作家の話を聴くイベントに参加しました。
終了したらすっかり夜で、ちょうど八重桜が満開で、
街灯のせいか花の色も空の色も絵の具を塗り付けたように人工的で、
内容の記憶は曖昧なのに、その色は鮮明に覚えています。
人工光のなせる技なのか、
そもそも、自由なものの自由の作為は私の認知とは非対称なのか、
ならば、屑箱に新しい出入口を見つけたって不思議ではない気がします。
襟草丁より
text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡
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