往復写簡 #70
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
脳はその領域のほとんどを予測に使っているそうで、○○ではない○○ではない○○ではない○○ではない○○ではないを繰り返し、つまり消去法によって一つの解「○○である」を導きだすそうで、とすると過去の経験や積み重ねた知識がモノを言うのでしょうか(とは言え年齢と精度が比例するわけではなく、そもそも精度云々の問題ではないか)、見間違えや思い込みによる判断も、決定のプロセスが予測によるものであることが大いに影響しているのでしょうか、よくよく見たら勘違いだった勘違いを修正する、この過程もまた予測と思うと、入れ子構造みたようで事実がどこにあるのかわからなくなりますが、あるとすれば私の中で、つまるところやはり入れ子構造で、暮らしてゆく上で常に避けられない他者との共有の方法は、物理的刺激に関しては同じであろうと思う思い込み、齟齬については他で補填し、曖昧で無理矢理ではあるけれど「ひとつの外界」を保ち、しかし他方で、密かに物語を紡ぎ、密かにその物語の住人になる私も存在し、今晩は野外シアターに居ります。
襟草丁より
text by Tei Erikusa
photo by Chikara Matsumoto
写真と書簡で往復する #往復写簡
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