往復写簡 #62
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
明白な違いには敏感で、大きな枠の括りの内に当てはまらないモノコトがどんな世界にも存在し、それらを、他者が好意的に捉えるか或いは嫌悪するか、若しくは当人がひた隠すか自慢気に語るかは状況によって様々で、ただ厳密を言えば同じは存在するのか甚だ疑問、否、存在しないでしょう、クローンだとしても見えている世界が皮膚感覚が食感が同じである証明は不可能ではないでしょうか、集団として共有できる勝手な境界線の内と外を分け感情を交錯させる、問題は、明白に違うと解釈するその心理にあって、それは防衛本能か生存戦略か、単体個体で識別できるにも関わらず、ある種の暗示によって同じだと言い、安堵したり断絶したり、ヒトは莫迦で莫迦で莫迦で愚かで、この愚かさは愛するよりほか肯定する方法はないでしょう、珍しい形を勝手にそれ以外とは違うと眺め、また、この甘酸っぱさは私しか知り得ない甘酸っぱさであり、言葉では伝えられても真実ではない、開かれているようで閉じられている世界を感じながら、珍しいとはそもそも愛づるから派生している、その珍しさへ向けられた眼差しを分析します。
襟草丁より
text by Tei Erikusa
photo by Chikara Matsumoto
写真と書簡で往復する #往復写簡
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