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往復写簡 #63


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


中国は北京の美しき切り紙の名手、晴娘は天上天下を箒で掃き回る。宇宙無双の式神の術で、照る照るも降れ降れも自由自在のヒトガタは前方後円墳の鍵穴かあるいは壷の形か。漢字のヒ+県=眞の絶望かそれともタロットの吊るされた男の希望のカードか。雨霰と投げ込まれるオヒネリかはたまた大地に乱立するキノコ雲か。七つ山という昔話が好きだけど、ツインでダブルな二つ山の輝きの下、背中合わせの苺みたいに、謎めく一卵性双生児の少女は双身で分身の夢をみる。


横浜は弘明寺の近辺にできるギャラリー偶然で展示するので、下見の帰りに夜道を散歩して参拝した。千三百年前の印度から渡来した、善無畏三蔵法師は七つ石で結界をつくり、行基菩薩は木造十一面観音像を刻み、弘法大師は双身歓喜天を刻む。男女合一で超人に変身する番組は象頭人身の神が抱き合う二人で一つの姿の象徴だったのか。参道ではなく、戦後闇市だった商店街を抜けたら、鎌倉街道だった。


松本力より


text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡


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