往復写簡 #67
襟草丁(写真)←松本力(文)
襟草丁さん
ブルーブラックな羽根が、無数の砂粒や礫を盤とした路上の針となって、曇天のアフタヌーンを告げた。或いは、ローアングルなまなざしを生きるだれかの道標となっている。なんだか、既視感があって、#67から#3へ、瞬間移動するような心持ちがする。
「左に見えますのは田圃でございます。右に見えますのは…」「そういえば、海辺の砂と星々の数はどちらが多いのでしょうか」と、バスガイドが「科学者の先生曰く、星の数のほうが遥かに多いそうですが」「この地球が砕け散ったなら、その欠片のすべても星々のそれも同じ、巨大な岩石や山々や大陸を構成していたのですからね!」と、自問自答する。
また、こうして、路面として再生された小宇宙に、鳥の身体の一部だったものが落ちていることを、どこかへ飛び去った本体も、路上を行き交う人々も、だれも知らない。
ただ、こうして、写真に残ったことが、映画に出てきた動物たちのその後を想うように寂しいけれど、君がいたように、ぼくもいたのだから、うれしい。
松本力より
text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡
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