往復写簡 #45
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 歯が痛い、ぐらぐらする。 ぐらぐらしない、古い格子の障子越しの蒼い光に、いつのどこのだれでもない場所に放り込まれた、記念すべきでもない四十五番目の、四の五のいえない、ミニマルな一葉の挑戦状たるコンポジット風景。...
往復写簡 #44
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 栗鼠は忘れたわけではありません。 食糧の蓄えとして木の実を埋める。何カ所にもわたって埋める。そのうちのいくつか(掘り起こすのを)忘れるから、タネは芽吹き樹はその種を次につなぐ。栗鼠くんが忘れてくれるお陰だね。失礼千万な感想を抱いてい...
往復写簡 #43
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん ある日の事でございます。 こんな声が聞こえてきそうな、池のふちで、静かに空の蒼さを映す水の面を蔽っている布袋葵の葉の間から、どんな下の容子がみえるのだろう。なにの眼にぼくらが蠢いている姿が映るのだろう。...
往復写簡 #42
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 空想ならば地の果てが断崖絶壁で構わないし空が誰に支えられていても構いません。しかし、船に乗れば水平線は飛行機に乗れば地平線は弧を描いているし、普段、回転する球体上に暮らしていることは事実とあれど体感しにくいですが、明るい時間と暗い時...
往復写簡 #41
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん この大鳥居をくぐったのは、人生で三度しかないかも。 海外のアーティストが原宿に行きたいと案内したり、彼らを鳩ノ森神社の溶岩でできた富士塚に連れていったり、仕事でスパイラルへいったり、原宿や北参道、表参道へはいくものの、代々木の原へは...