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往復写簡 #51


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


空間の物体の形象は、人の目からの距離や見る角度の相対的な位置によって変化するのが、可視光線がまっすぐ進んで、物体と空間との境界を眺める地平線に、その表面が消えて見えなくなる輪郭として認識される。

だから、顔の輪郭も、頭部の曲面と空間との境界を眺めている仮象なんだろう。


けれども、想像の視線が物体の裏側に回り込むように、絵画や写真は表現して、その仮象の輪郭に物体の形象の実在性を感じさせうるのだから、不思議だ。

それから、目や口として空いた穴から覗く、ヒトガタの中はがらんどうで、そんな中空の鋳型を身に纏っている自らの様を、外から眺めているのも、不思議だ。

実際の目や口の輪郭とは違うのに、その虚な空間から放たれた笑いや哀しみのまなざしと、なにかいいかけたことばのつづきをきいているようで、頬を紅に染めて恋をする。そして、眉毛って大事よね。


然し、誰かに似ている、自分か。

それとも、来春の干支の男、風天の寅さんかな。


松本力より


text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡


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