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往復写簡 #50


松本力(写真)←襟草丁(文)


松本力さん


時計など細々した構造のものを分解してみたくて、ただ元通り戻す自信がないので壊れてしまったものならば罪悪感は少なかろうと、動かなくなった機器の蓋を外し、否でも修理できる可能性は0ではないはず、直してみよう積極性は多少なりとも持ちつつ、ただ直せなくてもそもそも壊れているのだから致し方ない、「興味本位ではありますが直す気がないわけではありません」、意識が設定した見えない他者に正当性を主張しながら、位置や順番を忘れないように部品をバラバラにし、ヘエこういう風になっているのかと理解した気になった後、逆再生を試みほぼほぼ元に戻せたと低次元の満足だけを得、或いは、螺子やバネの様子が面白く彼らに別の使途を与えたい気持ちが高まって小箱に一旦納めたもののその一旦が伸びに伸びきり挙句の果てに忘れ去り、つまり結果的に機器は壊れたまま分解してみたかった欲だけが満たされます。


数字には滅法弱いけれど理数系分野に惹かれる傾向があり、ただ、なぜ惹かれるのか?起因はまだ突き止められずにいます。


襟草丁より


text by Tei Erikusa

photo by Chikara Matsumoto


写真と書簡で往復する #往復写簡


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