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往復写簡 #35


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


地にあって、どうして、空にはないものか。

砂利と石灰と水で箱や棒を型取り、線を真っ直ぐ引く。

電氣は火離火離と奔り、風は飛等飛等と螺子れ、

水雫は付和付和と割く、虚大な渦天を。

何もないのに、徴があるような、左様ならを告げる二つの眼。

その答礼に返歌を、さあ、うたいましょう。


ドーナッツを食べるメスジカがドゥと鳴く合図

レモンドロップスが金色の太陽からほとばしり

みんなが声援を送ってくれる私の名前をきいて

ファイトを燃やして遠い道のりを走ってゆけば

空は蒼く針が糸を引いて縫った雲のステッチを

ラッパ隊の行進がその跡をそろそろついていく

幸せのジャム付きパンとティーの茶会へ急ぐよ


鳥は、いまでも翼竜なのかもしれないね。

カラフルなハンガーの巣づくりを邪魔したら、カラスが僕に糞を投下してきた。

カレーパン買って店先で食べてたら、鳩が空中停止しながらパンを奪いにきた。

スズメは友だちになってくれるだろうか。


いままで知らないことを、これから知りたい。


松本力より


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