往復写簡 #36
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
矢印は古典的なユニバーサルデザインと思われ、不思議な力を持っています。
かなり過去の出来事。パウル・クレーの展覧会へ出かけ矢印が描かれた作品を見て、当時もやもやとした「気もち」を抱えていた私は、なにか、その矢印に導かれるような感覚に陥り、環境を変えようと心が決まり、視界が晴れたことを今でも鮮明に覚えています。
アマノジャクな私ですら、物理的にも精神的にも矢の方向に誘われる或いは矢の方向を重んじるのは、この記号の使われ方に関係しているのでしょう。山道のルートや避難経路、道路標識においては生命に関わるものであり、展示等の順路を示す矢印には明確な意図があります。それら意味に接触する回数を重ねるほど身体に染み付いて、矢が示す未来の空洞へ自ずと身体は導かれ、その空洞にピタリと結論を合わせるようにして帰着します。
ベクトルの授業はほぼ理解できなかったけれど、何故か嫌いにはなれませんでした。
襟草丁より
text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡
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