往復写簡 #34
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
彼女は鳥が嫌いです。特に鳩への嫌悪感は酷く、姿を見つけた瞬間に彼女の目は泳ぎ、その場から一目散に逃げ出します。動物園では鳥類エリアに近寄らず、テレビ番組で鳥の映像が流れるとチャンネルを変えます。私ですら恐怖するヒッチコックの映画「鳥」を彼女が見たならば確実にトラウマになり(そもそも全編見ることは不可能と思いますが)、ますます鳥がいる場に困難を覚えるでしょう。従って、彼女の前であの映画を笑いの種として話すことはあっても、絶対にすすめたりはしません。
なぜそこまで親の仇のように嫌悪するのか、彼女が置かれている環境や過去を遡っても理由が見当たりません。前世も生まれ変わりも信用しない質ですが、彼女は前世で鳥に関して何事かがあったのではないか?とつい想像を廻らせてしまいます。言わずもがな剥製も駄目で、鳥類の括りで言うならば、安心して眺められるのは多分ペンギンくらいではないか知ら。
さて、事実を元にしたフィクションは、大方フィクションと捉えるべきでしょう。
襟草丁より
text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡
#erikusatei #襟草丁 #matsumotochikara #松本力 #arinomiproject #無 #umu #なぜなにもないのではなくなにかがあるのか #whynotnothing #存在 #眼差し #時空 #過去 #現在 #未来
Comments