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往復写簡 #68


松本力(写真)←襟草丁(文)


松本力さん


目が合ったと思っているのは私の脳で、目が合ったかどうかも君の視界に何が写っているかも実は知り得ず、君はキミドリ色の体で、キミドリ色に満ち満ちた季節、その姿をその背景色に溶かしますが、ときどき誰かに見つかって、よくよく見ると君は愛くるしい顔をしているね、などと、主観に満ち満ちた勝手な感想を抱かれ、つまり脳というスクリーンから私は生涯脱出できず、膨大なキミドリ色という名の濃淡から或る一つのキミドリ色を選択し君の体に貼り付け、しかし、この瞬間と1分前と1分後で同じキミドリ色であるかは定かでなく、予測との答え合わせを延々と繰り返し、他者と共有するための固有名詞と体系化された言葉とを拙く操って意識に置き換え、くるくるまるい君のキミドリ色の目を見つめ疎通できたと思い込む思い込みと大差ない世界で、種や文化を保存する単なるツールとして生きるのも悪くないと思う。


襟草丁より


text by Tei Erikusa

photo by Chikara Matsumoto


写真と書簡で往復する #往復写簡


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