往復写簡 #61
襟草丁(写真)←松本力(文)
襟草丁さん
この狐面の、ぽっかりと空いた眼窩の奥底にひろがる、蒼さをのぞき込む。
いや、すっぽりと潜った瞳の彼方から放たれる、蒼い光が照らされるのか。
あの埴輪の様、銀毛碧眼の顔が凝視してくる、正体不明な黙音の圧がある。
いや、どの写真も、無名無口の表を仰視している、無表情な無声の顔があるのか。
ある凄い本があって、様々な写真や写真集から、トップ100オブすごい写真が抜粋されて載っている。こんなすごい表情が見出されるのがすごいなと、人が目の当たりにした表情を心の窓の奥底に残せるのが写真なのか、いや、人が写しとった光景を世界の表の眼前に残せないのが写真なのか。
そんなのどちらでもいいと、怒っているし笑っている、面白い顔たちは、スゴく眩しい光に照らされて白いのか。そんな風に死ぬ前に、そんなスゴいオモテを、旅先で、何時何時迄も、目撃しているのかも。
ああ、オモシロい、姿を見せぬカミサマの、路傍の道祖神、地蔵菩薩、明王たち。
そういえば、仏面のウルトラマンと、タイで共闘した、印度の白猿ハヌマーンも…
松本力より
text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡
#erikusatei #襟草丁 #matsumotochikara #松本力 #arinomiproject #無 #umu #なぜなにもないのではなくなにかがあるのか #whynotnothing #存在 #眼差し #時空 #過去 #現在 #未来
Commentaires