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街暦 #10


松本力(写真)←襟草丁(文)


松本力さん

その壁は全体的に黒くザラザラとした細目の紙ヤスリを思わせる質感です。白く微細な粒子が見上げた天の川銀河のごとく散りばめられているので、黒ではなく灰色にも見えます。換言するならば、黒と白が混ざった色ではなく、黒地に白絵の具でスパッタリングすることで感じる色と言え、同時にその砂状の粒子が質感の元と言えます。


「手ざわり」を「ことば」で表す。


テクストとテクスチャー、いずれも「織る」に由来しており、そこが興味深く、織物の表面から受け取る感覚と、言葉を意味をなすかたちへと織り上げてゆくイメージとを重ね、構造の類似性を私見として認め合点します。

さて、紙やすり様の壁には牡羊座のマークを彷彿とさせる亀裂も走っており、文字を「書く」は「欠く」に由来するのを思い出し、その細い溝をぼんやりと眺めていました。


襟草丁より


街暦

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text by Tei Erikusa

photo by Chikara Matsumoto


写真と書簡で往復する #往復写簡

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