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往復写簡 #75


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


この星を照らす陽光がやってきた、八分の旅の彼方で漣を立てる、核融合の黄色いソップに落とす、秋に映える林檎の輪郭を、螺旋に舞踊る影絵の蛇は、明滅する赤い信号を灯し、目の前の幻想が現実になるような、ないような神話が実在する場所へ、古代宇宙飛行士が着地したと、知らないものを知っているとわかるのか、知っていたものを知らなかったのか、僕の意識が認識した報告も意味を失う事象の、いつかどこか遠くの地平をゆく人人には、見ず知らずのくずだとしても、日日旅をつづける君に告ぐ感謝と共時性の謎、経済の祖と天使の名を合わせ持つ哲学者と、もはや偶然ではないは必然の年の暮れの日が暮れた、Goozenに偶然を引き合わせた握り飯の、深夜運転の助手席の握り手は問いかける、なぜ、世界は存在しないのか。


松本力より


text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡


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