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往復写簡 #39


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


I miss you.と。

遠く墨国の友人を想う時、瞼のうちに、彼女の輝ける表情と暮らしている街の風景を再生する映像を観る。存在の情報がどんな経路で伝わってくるのか、目の当たりにできないけれど、想像の中で、あの道の角を曲がれば、この空を越えていけば、まだ失われていないものがあることを、未来の記憶も実感することができる。

君がいなくてさみしいと、だれかもおもっていてくれるだろうか。


夏の終わりの空を見上げた。大きな表情が雲のかたちになっていた。逆か。

赤い陽は未知駆けて、白い月は満ち欠けて、葉見ず花見ずならぬ、半日遅れで追いかけながら。その空を写す瞬間に、何かが現れる。

何がおきていたんだろうか。それが、あとからしかわからないなんて。

ぼくもやってみようとおもう。ヨーダの影もあったから。全ては、等距離にある。蜘蛛に喩えられる花茎の雄しべ雌しべを放射状に伸ばし、たとえ、手は届かなくても、いつでもどこにでもその瞬間がある。

雲の中にも狛犬が居ることに気がついた。阿吽の猫犬は、落ちゆく陽に、上る月日に、前足をそっと一歩前にすすみゆく。


No! Try not. Do. Or do not. There is no try.


松本力より


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