往復写簡 #1
襟草丁(写真)←松本力(文)
襟草丁さん さて、ていさんが、このプロジェクトのUMUの頁で話してくれたように、明日、私はいないかもしれないということを考えていた。
今日みるものを、明日はもうみることがない、ぼくもいた。
そもそも、昨日までの存在はあったのだろうか?
ある日、電車にのって、ドアにもたれかかり、車窓に流れる景色をみた。そこにはステッカーが浮んでいた。昔はシールといっていたけれど。外光に照らし出されて、シール一面に細かいひび割れが浮かび上がった。なんだか、縦横無尽に走る都市の道を、タッタカタと行き交う車や人たちを想像していた。そういうのは、振動でつながったのではなく、雷が地上からも迎えにいった、ギザギザと結びあい、流れあった痕跡なんだろう。
いま眺めていた美味しそうな景色は、大きなケーキに降りつもった粉砂糖の上で、だれかが空を見上げていた。そのギザギザな手をぼくに振ってくれたのをおぼえていた。ぼんやりと白い視界に、凧のように浮かびながら、いつかどこかにおりていったんだろう。裂け目から、そう問いかける、空に放たれた声。
Supercalifragilisticexpialidociousな、未来からのまなざしを感じていたんだろう。
松本力より
text by Chikara Matsumoto photo by Tei Erikusa 写真と書簡で往復する #往復写簡 #matsumotochikara #松本力 #erikusatei #襟草丁 #arinomiproject #無 #umu #なぜなにもないのではなくなにかがあるのか #whynotnothing #存在 #眼差し #時空 #過去 #現在 #未来
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