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往復写簡 #22


松本力(写真)←襟草丁(文)



松本力さん


急な雨降り、傘のない中学生くらいの男子と、傘のない小学生の子どもたちが、自家用車の窓から時間差で目に入りました。大きく膨らんだ重そうなリュックを背負い俯きながら中学生は早歩き、一方小学生は、跳ねるように走り歓声をあげて濡れるのを楽しんでおり、その正反対な様(私にはそのように見えました)が非常に印象的でした。


時と場合と状況と気分と刷り込みと、いつも何らかのバイアスに引っ張られ「わたくし」という時空は常に歪んでいます。できたことができなくなったのは、あるいは、できなかったことができるようになったのは、なにかが付加されたのか、あるいはなにかを失ったからなのか。


街明かりに浮かび上がった白い花も、山の中腹で咲き乱れていた紫陽花も、今この時を共有しながら独自の時間軸を生きていました。傲慢さを受け入れて達観すれば、ほら、踊っているようにも見えるでしょう。


襟草丁より


text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡


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