往復写簡 #2
松本力(写真)←襟草丁(文)
松本力さん
一年前の今頃は小さな絵を一日一枚描いていました。
題材を日常の景色の中に探すことで視点が増え、それに伴い以前にはなかった気づきも増えました。
他方で「私」が持ち得る視点に上限があるならば、失った視点もあるのだろうかと空想しましたが、無論、知る術はありません。
それはさておき、日々の移ろいを注視する中で、春になると路傍に現れる花の正式名称を知りました。
しなしなと可憐に揺れるその花を疑いもなく在来種と信じていましたが、実は帰化植物であると知りました。
syu、と言ってみました。その花の色です。
syu、と言ってみましたが、それは脳が見ているsyuであり、誰かのsyuと重なることはありません。
そもそも色彩は光のまやかし。
と考えると急速に眼前の世界が蒸発してゆくようですが、揺れ動く情が唯一の真実ならば宇宙はやはり美しいと思うのです。
襟草丁より
text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡
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