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往復写簡 #14


松本力(写真)←襟草丁(文)



松本力さん


非日常的な移動は特に逃避と妄想に拍車をかけます。

耳慣れない地名の響きに惹かれ、いっそ、終点まで乗っていようか脳裏をよぎる誘惑。隣に座った男が実は平行宇宙の住人である可能性を100%にできる想像の自由。


このプラットフォームとあのプラットフォームは違くて、このプラットフォームはこの身体を点と点で繋ぎますが、あのプラットフォームはプラットフォームの数だけ人格を作ります。身体を伴わない移動が可能になり、このプラットフォームの真実性は遠ざかり、幾つものあのプラットフォームの抽象的空間の中で、記録や検索に止まらない外部装置を拡張させながら分身を増やし、まるで幽霊のように越境します。どこまで行っても無機質な信号の送受信ですが、経年劣化のアナログ的実感やアフォーダンス的余白は「遊び」として存在し続けるのではないか知ら。


この身体とあの身体を辛うじて同期させ乍らも手放しつつある感覚は、いつかこの身体に還る為でしょうか。


襟草丁より


text by Tei Erikusa photo by Chikara Matsumoto 写真と書簡で往復する #往復写簡


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