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往復写簡 #11


襟草丁(写真)←松本力(文)



襟草丁さん


謎が映っているの。

緑の壁に傘が突き刺さしてあるの。緑の床にそれが突っ立っているの。鶴首頭で天地を転置、無用の用と思考を回転させながら、ローリンググリーンズはいつまでも満足できないとうたうの。

鏡を通りぬけても、わからないことは、謎なままなの。知らないことは、できないままなの。そうやって、謎を受取りつづけているの。受取りつづけなければならないの。


二羽の鳥の石像を観たの。そこに居たのを想い出したの。たぶん、ぼくが居た頃よりずっとまえなの。おそらく、美術の教師がモルタルかコンクリでつくったの。きっと、愛の記憶の装置なの。まさしく、謎を想いだせないから、いつまでもそこに居るの。塑像があって鋳造するから、ポジティブでネガティブな像を観ているの。これはもう、アウリンじゃないの。物語の中の物語を読んでいるの。生きている自分が生きているんだと気づいたの。


ヒナギクが、また、会いにきてくれたの。AIが人間の言葉で世界を認識するけれど、私たちは人間のような意志なんてないの。そもそも、人間に意志なんてあるの。つくられた存在もつくった存在も、一所懸命に目で見ても口で話しても、四次元超立方体から出られないの。

眠ろうとするといろいろ考えてしまうの。考えようとすると眠ってしまうの。ある雨上がりの夜に指パッチンならして、変わりそうで変わらないの。ある晴れた日に出会うって、ありそうでなかったの。

これは、こたえているの。といかけなの。


あなたがどこかにいるときに、おもわないかたちで、ぼくはくちはてるの。

ほんとうのしあわせは、いつも想いでのなかにいるの。


さよならはわかれのことばじゃなくて ふたたびあうまでのとおいやくそく


(引用:『夢の途中』作詞・来生えつこ/作曲・来生たかお)


松本力より


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