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往復写簡 #56


松本力(写真)←襟草丁(文)


松本力さん


暗闇が怖いのは、空間が真っ黒、黒に飲み込まれて情報が遮断されるからで、暗闇に目が慣れうっすらとでも状況が把握できるようになれば怖さは軽減され、それは暗闇に限った話ではなく、よくわからないことは怖いし不安であり、逆を言えば怖さや不安に思うのはよくわからないからで、そのわからなさが解消されれば(それがたとえ不十分でも)怖さや不安はまあまあ取り除かれてゆき、ただ他方で、わからないは好奇心の原動力であり、好奇心を持続させるモチベーションであり、もし好きな数字は幾つですか?と質問されることがあったならば「99」と答えを用意しており、それは不完全でありたいと願うからで、完璧に「つづき」はなく、つまり999でも良く、永遠に埋まらない1永遠に理解し得ない1と共に暮れる日々に愉悦があり、今日も夜は美醜混淆飲み込もうとしていて、暗闇に真っ赤、赤に灯る信号機の光が、それが示す意味が、この定点観測と重なりプロメテウスの火のようです。


襟草丁より


text by Tei Erikusa

photo by Chikara Matsumoto


写真と書簡で往復する #往復写簡


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