往復写簡 #26
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 三点倒立を日課にしています。ただ、午前中の空腹時と決めているので、日によって出来なかったり忘れたり。ゆえに、この日課は極めて緩い。今のところ、大きく息を吸って吐いてを40呼吸ほど繰り返して終わらせていますが、目標は50呼吸から60呼...
往復写簡 #25
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん ヘムを縫っていますね。帽子の場合は、ここにワイヤを入れて。 足踏みから工業用からブレード専用やら、数種のミシンが家にあるけれど、縫い手は二人しかいない。 帽子屋の息子なのに、帽子を被らないのはどういうことだといわれて。...
往復写簡 #24
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 朝、起きたらまず、珈琲を淹れます。 寝覚めは良い方ですが、珈琲を飲まないと心身が曖昧というか、居心地が悪いというか、ともかくもシャッキリとしません。加えて、甘いものを少し。両親は毎朝ご飯の前に緑茶で甘いものをつまんでいました。親の習...
往復写簡 #23
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん あの、ひまわりのうしろすがたか。 うなだれる、うしろあたまに、ありがひとり、のぼってゆくか。 きんこつりゅうりゅう、あおいさんみゃくをめざして、ひとりのぼり、しぐれてゆくか。 きょだいな、すたじあむにいどむ、せんしゅのなみだがちいさ...
往復写簡 #22
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 急な雨降り、傘のない中学生くらいの男子と、傘のない小学生の子どもたちが、自家用車の窓から時間差で目に入りました。大きく膨らんだ重そうなリュックを背負い俯きながら中学生は早歩き、一方小学生は、跳ねるように走り歓声をあげて濡れるのを楽し...
往復写簡 #21
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん あっつい。 この先になにがあるのかおもうと、気が遠くなる。 子どもの頃、登山した禅庭花が咲き乱れる高原をのぼっていった。あの丘を越えたら天辺だからといわれたけど、その丘からまた次の丘がみえて、どこまでもつづくキスゲの波。...
往復写簡 #20
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 日々、 おすすめのトピックや、おすすめの動画が無闇に飛んできます。「あなた、こういう分野に関心が薄いでしょ」とか「あなた、こういうジャンルご存知ないでしょ」とか、穴を見つけてすすめてくるアルゴリズムがあればおもしろいのにと時折想像し...
往復写簡 #19
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん おぼえていますか、青いデザイン定規(スピログラフ)のこと。 向日葵を黄色いぐるぐるで描いたような気がするから、サイクロイド曲線だとおもったら、フィボナッチ数を一辺とする正方形が隣り合う黄金長方形の、右回りに34本、左回りに21本のぐ...
往復写簡 #18
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 存在や世界について問えば問うほど、曖昧さに拍車がかかり、宵のグラデーションのように蒸発してゆくようです。わたくしという背景が認識している景色は、解釈は、真実とも嘘とも言い切れず、ただ世界はそこにあって、ただ世界はそこにはないと言わざ...
往復写簡 #17
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん みえないなにかがもやもやとたちのぼってゆく。 富士の、不二の、不死の山の頂で、月の子が残した思い出を燃やす煙は立ち上り、いまでも、その霞がたなびく荒凉とした山肌には、その目撃者である鉄塔の位置に、一本の木の陰影があって。...