往復写簡 #46
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 植物は知性を持っている、 とは、ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ共著のタイトル(原題Verde brillante. Sensibilità e intelligenza del mondo...
往復写簡 #45
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 歯が痛い、ぐらぐらする。 ぐらぐらしない、古い格子の障子越しの蒼い光に、いつのどこのだれでもない場所に放り込まれた、記念すべきでもない四十五番目の、四の五のいえない、ミニマルな一葉の挑戦状たるコンポジット風景。...
往復写簡 #44
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 栗鼠は忘れたわけではありません。 食糧の蓄えとして木の実を埋める。何カ所にもわたって埋める。そのうちのいくつか(掘り起こすのを)忘れるから、タネは芽吹き樹はその種を次につなぐ。栗鼠くんが忘れてくれるお陰だね。失礼千万な感想を抱いてい...
往復写簡 #43
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん ある日の事でございます。 こんな声が聞こえてきそうな、池のふちで、静かに空の蒼さを映す水の面を蔽っている布袋葵の葉の間から、どんな下の容子がみえるのだろう。なにの眼にぼくらが蠢いている姿が映るのだろう。...
往復写簡 #42
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 空想ならば地の果てが断崖絶壁で構わないし空が誰に支えられていても構いません。しかし、船に乗れば水平線は飛行機に乗れば地平線は弧を描いているし、普段、回転する球体上に暮らしていることは事実とあれど体感しにくいですが、明るい時間と暗い時...
往復写簡 #41
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん この大鳥居をくぐったのは、人生で三度しかないかも。 海外のアーティストが原宿に行きたいと案内したり、彼らを鳩ノ森神社の溶岩でできた富士塚に連れていったり、仕事でスパイラルへいったり、原宿や北参道、表参道へはいくものの、代々木の原へは...
往復写簡 #40
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 月は不思議な存在です。 物心ついた時には(たぶん)既に月を月と認識していました。月はどこにいても月だと判断が可能で、古今東西さまざまな人と共有することができます。勝手気儘な感想を抱き、勝手気儘に思い入れ、他の天体との扱いの差を認めざ...
往復写簡 #39
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん I miss you.と。 遠く墨国の友人を想う時、瞼のうちに、彼女の輝ける表情と暮らしている街の風景を再生する映像を観る。存在の情報がどんな経路で伝わってくるのか、目の当たりにできないけれど、想像の中で、あの道の角を曲がれば、この...
往復写簡 #38
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 電線は、どこかの家に渡されてどこかの部屋を照らしています。神経細胞みたように張り巡らされ、多くの家に渡されて多くの部屋を照らしています。 白昼だったか夜だったか、電車に乗って、誰を注視するでもなく乗り合わせた人々を眺め、すべての人に...
往復写簡 #37
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 差異、差違、差意?御茶の子さいさい。さいってなんだ。意味崩壊しかけている。 そもそも道に文字が書いてあるのは不思議だ。いや、これは文字なの。 橙色の矢印の上に、白色の矢印が書かれているのを見たが、なにを指しているのかわからなかった。...