街暦 #12
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 高校の美術の授業で、大理石の塊をひとつ渡され、「かたち」をよくよく観察してからその起伏というか流線形というかを活かして人の顔を掘るという課題が出ました。デフォルメを学ぶ授業だったのですが、非常に面白かったのを覚えています。...
街暦 #11
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 緑の中のシルエット。受話器の中に影がある。 電話するなら撮らないけど、撮るなら電話する手が、受話器の中に影が写る。recentでもlatestでもなく、まさしく、green photographの著者近影。この電話機を、街で電話をか...
街暦 #10
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん その壁は全体的に黒くザラザラとした細目の紙ヤスリを思わせる質感です。白く微細な粒子が見上げた天の川銀河のごとく散りばめられているので、黒ではなく灰色にも見えます。換言するならば、黒と白が混ざった色ではなく、黒地に白絵の具でスパッタリ...
街暦 #9
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 青、白、赤で、自由、平等、博愛のトリコロール。 革命はないが、革命のときは近づいている、とおもう。 それは、自分の中の自分がこわれるときに、それをこわすのもつくるのも自分だから。きっと、人生に勝ち負けはないということなのかな。いまま...
街暦 #8
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 二つに折った白い紙の折り目にインクを垂らし、再びその折り目で畳み、圧をかけてからまた開く。さて、何に見えるでしょう。 十代半ばから後半にかけて心理学に興味を持ち、関連書籍を調べたり読んだりしていました。ただ(と言うべきか、だから、と...
街暦 #7
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 薄桃色のバラとフローリストの文字、小さな花屋さんにはなにもないのに、いままで誰かがいたような、その誰かをまっているような、停留所か待合室にいる気持ちになる。よくみると「生花は27日(金)入荷致します」とあるから、2日後には花で一杯に...
街暦 #6
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 多くの人が注目したり関心を寄せたりするものに対して、あえてその中には入らずとも良いのではと思っています。皆が見ているのだから、見られている方からしたら、もう、十分すぎるほど十分であろうと想像する故です。...
街暦 #5
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん クレーンの鉄柱が暮れにスタッチューと並ぶ、 蒼穹な大通りは早急な要求通りに流れて、 水々黙々と働く人々。 点描みたいな雲は、お馴染みのパレイドリアかシュミクラ現象が静かに賑やかな空。...
街暦 #4
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 沖縄の平和祈念公園を訪れた時、記録の写真を撮影しようとスマートフォンをかざしましたが、なぜか撮ることができませんでした。一枚も。画像に残すことよりも、記憶に焼き付ける方を選んだのかも知れません。無意識に。...
街暦 #3
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん ニッとわらう赤い唇の、お稲荷様の眷属は夫婦。 つまり、子連れのお母さんなんだ。 そうとはかぎらない?父子かもしれないし。 その母狐が主婦と兼業で店をやっていたら、赤暖簾をくぐれば「あら、いらっしゃい。今日こそ赤白つけるわよ」と女将の...