往復写簡 #9
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 白菜が宇宙になった。 いつかみた、どこかへと立ち漕ぎでいそいでいた女子みたいな、買い物帰りの疾走する自転車の籠から落ちた一菜がぎうぎうと路に押しつけられて、砂利や埃と一体の銀河になった。ある雨の日には、一名がざんざんと路に押しつけら...


往復写簡 #8
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 日本文化のひとつ「見立て」。なにかをなにかになぞらえる表現方法で、例えば和菓子の名に見られ、お萩や水無月などの行事菓子の名は身近な「見立て」と思います。節気や暦と結びつき、従ってその季節の光景を容易に想像することができます。ちなみに...

往復写簡 #7
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 片付けていて、古い色紙が出てきた。 まずもろともにかがやく宇宙の微塵となりて 無方の空にちらばらう 宮沢賢治 文学少女だった母は、宮沢賢治研究会の「四次元」に出入りしていた。だれの書なのか。そうか、いままでとこれからのみえない記憶の...

