街暦 #8
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 二つに折った白い紙の折り目にインクを垂らし、再びその折り目で畳み、圧をかけてからまた開く。さて、何に見えるでしょう。 十代半ばから後半にかけて心理学に興味を持ち、関連書籍を調べたり読んだりしていました。ただ(と言うべきか、だから、と...
街暦 #7
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 薄桃色のバラとフローリストの文字、小さな花屋さんにはなにもないのに、いままで誰かがいたような、その誰かをまっているような、停留所か待合室にいる気持ちになる。よくみると「生花は27日(金)入荷致します」とあるから、2日後には花で一杯に...
街暦 #6
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 多くの人が注目したり関心を寄せたりするものに対して、あえてその中には入らずとも良いのではと思っています。皆が見ているのだから、見られている方からしたら、もう、十分すぎるほど十分であろうと想像する故です。...
街暦 #5
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん クレーンの鉄柱が暮れにスタッチューと並ぶ、 蒼穹な大通りは早急な要求通りに流れて、 水々黙々と働く人々。 点描みたいな雲は、お馴染みのパレイドリアかシュミクラ現象が静かに賑やかな空。...
街暦 #4
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 沖縄の平和祈念公園を訪れた時、記録の写真を撮影しようとスマートフォンをかざしましたが、なぜか撮ることができませんでした。一枚も。画像に残すことよりも、記憶に焼き付ける方を選んだのかも知れません。無意識に。...
街暦 #3
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん ニッとわらう赤い唇の、お稲荷様の眷属は夫婦。 つまり、子連れのお母さんなんだ。 そうとはかぎらない?父子かもしれないし。 その母狐が主婦と兼業で店をやっていたら、赤暖簾をくぐれば「あら、いらっしゃい。今日こそ赤白つけるわよ」と女将の...
街暦 #2
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん ある社会学者が土地の文化と血の文化という話を音声メディアだったか映像メディアだったかでしていて印象に残っています。日本は前者で人は土地に根付いており、後者は大陸系で血縁を重視する文化と聞き、成る程と思いました。...
街暦 #1
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん クレーンは重たいものを吊上げる、鉄骨とはかぎらずに。 八名川稲荷の美しい暗赤色の屋根瓦の三つ巴の渦を眺めると、自分と自分の中の自分と世界が渦巻く。それが左巻きなのは、人の目で銀河を型に分類する無意識の先入観が反映されているのか、観測...