往復写簡 #61
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん この狐面の、ぽっかりと空いた眼窩の奥底にひろがる、蒼さをのぞき込む。 いや、すっぽりと潜った瞳の彼方から放たれる、蒼い光が照らされるのか。 あの埴輪の様、銀毛碧眼の顔が凝視してくる、正体不明な黙音の圧がある。...


往復写簡 #60
松本力(写真)←襟草丁(文) 松本力さん 標本や標本が陳列された空間に陶酔するのは、標本や標本が陳列された空間が秘密めいた匂いというか、独特の陰影を持っていて、モノへ向かう知的好奇心だけではない、他者を隔絶させ、知識を得る以外の空想を容易にする因子が放出されていて、ただこの...


往復写簡 #59
襟草丁(写真)←松本力(文) 襟草丁さん 夢をみた。夢の中で時を超える。何もおこらなかったのは、何かがおこったあとだからだろうか。その日、その時、その場に戻ることはできないけれど、時間に後先があるのではなく、意味の中に生きてこそ、その後先を再び知ることはできる。その瞬間に強...

